発行日 : 2011年11月22日
2011年11月18日午後7時10分頃、徳之島市で突風が発生し民家が損壊、さらには3名の犠牲者が出た。

当日は日本の東海上に高気圧、九州の西に前線という気圧配置となっていた。東シナ海の前線上で低気圧が発生して、南西諸島周辺は南からの湿った空気が流れ込みやすい状況であった。
気象レーダーによると、徳之島周辺には南北にのびる発達した雨雲があった。この雨雲が18時30分~20時にかけて、西から東へ移動して徳之島を通過している。突風発生時の徳之島周辺の雨雲の様子を拡大すると、約50km/hで北東へ進む活発な雨雲が通過していたことが分かる。
![]() |
![]() |
![]() |
| 18時40分 | 19時00分 | 19時20分 |
当時の気象状況について、気象衛星や高層観測、数値モデル等のデータを用いて解析したところ、湿った空気は10m/s程度の強い南風となり大気の下層に流れ込んでいた。 突風をもたらした雨雲は、この風の収束によって形成されていたと考えられる。 また、徳之島の西側の下層には相対的な乾燥域が存在しており、この乾燥域が 東へ移動していた。乾燥域が雨雲の西側から侵入することで、大気の状態が不安定となり、雨雲の発達が助長されていたと考えられる。
![]() |
![]() |
WITHセンサー で見る気圧の底はA、B、Cともに15時~21時頃と見られ、これがメソ低気圧もしくは前線通過のタイミングと見られる。その水平スケールは擾乱の移動速度(時速約50km)から約300kmと推定される。また、各WITHセンサー で19時前後に鋭い下降のピークが10分ほどで現れている。(図中青色部分)。水平スケールは、擾乱の移動速度からおよそ10kmと推定される。これは竜巻を発生させた積乱雲に伴うメソ低気圧の通過に対応する可能性がある。
また、 WITHセンサーで見る気温低下(強い降水)のタイミングと、アメダス(伊仙、沖永良部)の風のデータで見る強風(最大瞬間が10m/s超、風向が東成分から南成分寄りに変わる)のタイミングが、おおむね一致している。
![]() |
![]() |
被害の現地調査を行った所、被害は全体として南北に長い帯状に分布していた。また、草木や農作物の倒れる方向は一様ではなかった。このことから、今回の突風の原因は竜巻の可能性が高いと言える。(※被害が大きかったエリアは、東西の幅が約50m、南北の幅が約200m)
<被害状況の詳細>
竜巻の痕跡と思われる、建物の破壊や草木が倒れた状況は、轟木地区の中心部から南西へ200m程度離れたサトウキビ畑の広がるエリア(東西に約50m、南北に約150m)の範囲で見られた。
このエリアの南端にあたる犠牲者の出た民家は、重い家具などを残してほとんどが破壊され、飛散していた。軽自動車は北側の土手へ飛び、周辺の草木も北へとなぎ倒されていた。この民家の北側50~100mの畑では、サトウキビが倒れた部分が見られたが、倒れ方は一定ではなく、反時計まわりに回るように倒れている箇所も見られた。また、幹が30~40㎝程度と思われる比較的大きな木も倒れていた。
現地サポーター(現場から南へ約15kmの島南部に在住)からは、当時、雨風は強かったが、雷の音は聞いていない、という話を得られた。
さらに北側では、こういった竜巻の直接的な影響と思われる状況は見られなかった。ただ、民家の一部や家財道具が広範囲で飛散し、屋根や窓ガラスが破損するといった報告があった。徳之島警察署によると、竜巻が発生したと見られる地域から北へ1.8kmの地点で全壊した民家のトタン屋根の一部が発見されている。
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
現地調査によると、被害が帯状に分布していること、草木や農作物の倒れる方向が放射状ではなく非一様であることから、この被害の原因は竜巻である可能性が高い。木造家屋が破壊されていることから、瞬間風速が39~49m/sの「EF1」、もしくは瞬間風速が50~60m/sの「EF2」であったと推定される。
また、気象データの解析からは、被害地域周辺で積乱雲に伴うメソ低気圧の通過が示唆され、これが竜巻の発生環境になっていた可能性がある。「Wx Files Vol.8 2011年8月21日に福岡市で発生した突風(竜巻)」においても、突風発生時にメソ低気圧の通過に対応すると思われる気圧の低下が観測されている。
気圧の細かな変化をリアルタイムに解析することで、同様な突風の危険性を把握できる可能性がある。ウェザーニューズでは今後も解析を進め、突風被害を少しでも軽減できるよう取り組んでいく。
※このWx Filesの記載は速報値であり、二次災害あるいは今後同様の災害を少しでも減らすことを目的としています。