発行日 : 2011年10月12日

ウェザーニューズ、今夏の“ゲリラ雷雨”まとめ発表

今夏は都心部で“ゲリラ雷雨”の発生が多く、全国的に昨年より2.5割増加

~ “ゲリラ雷雨”を全国平均8割以上の確率で事前に予測し、42分前にメールでお知らせ ~

株式会社ウェザーニューズ(本社:東京都港区、代表取締役社長:草開千仁)は、10月12日(水)、“ゲリラ雷雨”による被害軽減を目指して毎年発足する「ゲリラ雷雨防衛隊」の今夏における取り組み結果、および“ゲリラ雷雨”発生回数をまとめ、発表しました。局地的かつ突発的に発生する“ゲリラ雷雨”を事前に予測し、その危険性をいち早く知らせるため、約2万8千人の「ゲリラ雷雨防衛隊」と、全国80ヶ所で雨雲を観測する小型観測レーダー「WITHレーダー」、全国3,000ヶ所に設置する気象観測機「ソラテナ」のデータを用い、“ゲリラ雷雨”の監視体制の強化に努めました。この結果、全国的に昨年より約2割以上多く発生した“ゲリラ雷雨”に対し、目標とする“ゲリラ雷雨による死亡者ゼロ”を昨年に引き続き達成することができました。また、今年の「ゲリラ雷雨防衛隊」は7月22日から開始し、9月30日に終了しました。この間、“ゲリラ雷雨”発生の危険性を事前に知らせる「ゲリラ雷雨メール」の事前捕捉率は、東京都では90.6%で、全国では平均84.9%という結果になりました。さらに、「ゲリラ雷雨メール」は全国平均で“ゲリラ雷雨”発生の42.4分前に送信し、安全な場所への待避や対策を行う方へ余裕を持ってお知らせすることができました。来年も引き続き、「ゲリラ雷雨防衛隊」への参加を広く呼びかけ、全国の方と共に “ゲリラ雷雨”による被害軽減に努めていく予定です。

今夏の“ゲリラ雷雨”傾向

7月下旬は、太平洋高気圧の張り出しが弱く、上空の寒気の影響も受けて大気が不安定となり、全国的に“ゲリラ雷雨”が発生しやすい状況になりました。さらに8月上旬も太平洋高気圧の張り出しが弱く、台風の接近に伴った暖湿流の影響もあり、“ゲリラ雷雨”の発生が多くなりました。一方、8月中旬になると、高気圧の張り出しが強まって大気が安定し、“ゲリラ雷雨”の発生は少なくなりました。ただ、山沿いでは、日中の昇温により連日のように“ゲリラ雷雨”が発生していました。8月下旬は、太平洋高気圧の張り出しの弱まりとともに、前線が本州付近を南下しました。前線南下後は日本海に中心を持つ高気圧に覆われましたが、南から湿った空気が流れ込みやすい状態で、全国的に“ゲリラ雷雨”の発生が多くなりました。9月は、本州付近への台風の接近や通過、さらには前線により、各地の大雨や大荒れの天気が印象的でありましたが、“ゲリラ雷雨”の発生は減少しました。期間中の“ゲリラ雷雨”の発生回数を見ると、全国の発生回数は、昨年より2.5割程度多く8,743回でした。山間部での発生が比較的多かった昨年と比較すると、今年は都市部での発生が多い傾向にあり、関東では過去3年で最も多くなったところが多くなりました。

“ゲリラ雷雨”を事前に発見し、被害軽減に努めた「ゲリラ雷雨防衛隊」

「ゲリラ雷雨防衛隊」は、予測不可能と言われた“ゲリラ雷雨”の事前予測に全国の方と取り組み、その被害軽減に繋げることを目的に、携帯サイト「ウェザーニュース」とスマートフォンアプリケーション「ウェザーニュースタッチ」(月額315円の会員向けメニュー)内で始動したコミュニティです。4年目を迎えた今シーズンは、28,100人の方が参加し、7月22日~9月30日の約2ヶ月間、雲の監視に努めました。「ゲリラ雷雨防衛隊」へ入隊した方は、自宅付近やお出かけ先などで雲を発見した際に、GPSで現在地を登録し、携帯サイトまたはアプリを通して雲の詳細を報告します。報告内容は、“雲のある方角”“雲の色”“雲までの距離”“雷鳴の有無”、そして、今後降るかどうかの“五感予想”で、雲の写真と併せて送信します。「ゲリラ雷雨防衛隊」の本部があるウェザーニューズでは、全国の隊員から寄せられた詳細な情報を即座に解析することで、観測機では捉えられない、急速に発達する可能性のある雲を捉え、“ゲリラ雷雨”発生の危険性を事前に知らせる「ゲリラ雷雨メール」の送信を行うことができました。また、今年はAndroid向けアプリでも「ゲリラ雷雨Ch.」が利用できるようになり、スマートフォンでの利用参加が拡大しました。スマートフォン向けの「ゲリラ雷雨Ch.」では、報告回数や報告場所などによって、アプリ内で様々なバッチが獲得できるゲーム性を持ったコンテンツを新たに設け、多くの方が楽しみながら参加することができました。

「ゲリラ雷雨防衛隊」の仕組み

「ゲリラ雷雨防衛隊」の実績(2011年7月22日~9月30日)

エリア ゲリラ雷雨
発生回数
「ゲリラ雷雨メール」
事前捕捉率
「ゲリラ雷雨メール 」
送信時間
東京都 115回 90.6% 48.6分
愛知県 163回 75.8% 14.9分
大阪府 154回 82.2% 23.6分
福岡県 149回 83.3% 29.7分
全国 8743回 84.9% 42.4分

今年の“ゲリラ雷雨”の発生回数は全国で8,743回と、昨年より約2.5割多くなりました。また、都市部での発生数は、東京都で115回、大阪府で154回、愛知県163回、福岡県で149回でした。“ゲリラ雷雨”発生を事前に知らせる「ゲリラ雷雨メール」の事前捕捉率は、全国で84.9%と昨年の83.6%より上がりました。特に、東京都では「ゲリラ雷雨防衛隊」の参加人数が多いため雨雲の報告数も多く、昨年に引き続き事前捕捉率が9割を超えて90.6%になり、「ゲリラ雷雨メール」は平均48.6分前に送信することができました。
※事前捕捉率の求め方
“ゲリラ雷雨”をもたらす雷雲は、予め予測可能な前線による雨とは別で、“急速”かつ“局地的 ”に発達し、事前に予測することが難しいのが特徴です。また限られた数しか設置されていないアメダスでは、全ての降雨を正確に観測できないのが現状です。当社では、全国100万人以上の利用者からの降雨報告において、“ザーザー”以上の強い雨 (5段階中の2番目以上に強い雨)が報告された中で、前線等の影響による雷雨(事前予測ができていた雨雲)を除き、当日の朝の時点で“いつ”“どこで” “どれくらい”かが細かく予測できない雷雨を“ゲリラ雷雨”とし、10kmメッシュごとにカウントしています。発生回数は7月22日~9月30日の期間で夜間を除いて算出した数字になります。また、それら発生した“ゲリラ雷雨”を、どのくらいの確率で事前捕捉していたかを計算するとともに、その捕捉した“ゲリラ雷雨”を何分前にメールで登録会員に知らせていたかを算出しました(200分以上前のメール送信は無効としてカウント)。

全国で発生する“ゲリラ雷雨”を徹底監視する『WITHレーダー』が全国で活躍

“ゲリラ雷雨”を捕捉するために開発された『WITHレーダー』は、昨年の40ヶ所から運用数を大幅に増やし、全国約80ヶ所で、“ゲリラ雷雨”の監視を行いました。『WITHレーダー』は、半径50㎞の範囲の上空2㎞以下の現象を150m四方毎に6秒間隔の超高頻度観測ができ、突発的かつ局地的に発生する“ゲリラ雷雨”や竜巻を捉えることができるのが特徴です。また、『WITHレーダー』は、雨雲の強度の情報だけでなく、風の情報も得ることができるため、雨雲の移動速度、移動方向も捉えることができます。ウェザーニューズでは、まず隊員から寄せられた雲の情報をもとに“ゲリラ雷雨”発生の可能性エリアを絞り込み、『WITHレーダー』でそのエリアを早期に重点的に監視します。今年は、スマートフォンを利用する「ゲリラ雷雨防衛隊」に『WITHレーダー』のデータを公開して新たに「WITHレーダー稼働会議」を実施しました。隊員はチャット機能を利用しながら、他の隊員や「ゲリラ雷雨防衛隊」本部と情報を共有しました。これにより、実際の雲の様子と『WITHレーダー』のデータを見比べながら雲を監視したり、レーダーの方角を調整するなど、これまで以上に監視体制が強化されました。

全国3,000ヶ所に設置する気象観測機『ソラテナ』から詳細な情報を入手

今シーズンは、全国3,000ヶ所に設置する気象観測機『ソラテナ』のデータを新たに用い、“ゲリラ雷雨”を予測する上で有効活用する事ができました。『ソラテナ』は、気温、気圧、湿度、感雨、日照、紫外線の6つの要素を観測することができ、1分毎にデータが更新されます。“ゲリラ雷雨”の発生の可能性を検討する上で、地上の温度や積乱雲の発生温度の変化を追うことは欠かせません。また、“ゲリラ雷雨”が発生する前の急な気圧変化や、隊員から寄せられた五感予想と湿度のデータの比較分析を行うため、ウェザーニューズでは、24時間体制で3,000ヶ所の『ソラテナ』データを監視しました。「ゲリラ雷雨防衛隊」と『WITHレーダー』、『ソラテナ』のデータを活用する事で、これまで以上に多くのデータで“ゲリラ雷雨”発生の事前予測に取り組む事ができ、精度向上に努めることができました。

「ゲリラ雷雨防衛隊」から寄せられた被害リポートをデータベース化

ウェザーニューズでは、個人の減災意識を高め、地域の人と被害軽減に取り組む“減災”の活動強化に努めています。この“減災”の試みは、過去の大規模な災害情報や、これまで記録として残っていなかった身近な個人生活レベルでの被害をデータベース化し、インターネットサイト (URL:
http://weathernews.jp/gensai/)にて公開することで、“いつ”、“どこで”“どのような”被害があったかを近隣の方と共有できるものです。今夏「ゲリラ雷雨防衛隊」からは、各地の冠水、浸水、停電などの被害リポートが約100件寄せられ、過去の気象状況と照らし合わせデータベース化することで、今後の雷雨時の被害を事前に予測することができます。ウェザーニューズでは、随時サイト内で地域の人から災害情報を募集・公開し、更なる減災データベースのバージョンアップを図っていき、“ゲリラ雷雨”による被害軽減に努めていきます。

「ゲリラ雷雨防衛隊」のサービス利用結果

ウェザーニューズでは、“ゲリラ雷雨”対策サービス「ゲリラ雷雨防衛隊」の活動に関し、その利用状況を調査するため、9月29日~10月1日の間アンケートを実施し、計7,331件の有効回答をまとめた結果を発表しました。その結果、「来年も防衛隊として参加したいですか?」との質問に対して、92.4%の人から“参加したい”との回答をいただき、「ゲリラ雷雨メールを来年も利用したいですか?」との質問に対して、93.4%の人から“利用したい”と回答があり、多くの方からサービスに満足いただけた結果になりました。さらに、今年から新たに開始した「WITHレーダー稼働会議」に関して、「WITHレーダー稼働会議は役に立ちましたか?」との質問に対しては、“かなり役立った”“まあまあ役立った”を合わせると、73.1%の人が役立ったと実感している結果となりました。また、「入隊の志望動機は?」との質問に対しては、“誰かの役に立ちたいから”が最も多く、「防衛隊としての活動の感想は?」との質問に対しては、“楽しかった”、“達成感があった”との回答が多い結果になりました。“ゲリラ雷雨”というシビアな天気に対し、みんなで楽しく取り組むと共に、周りの人にも役立つ情報を自ら発信し、被害を減らす事に努めた充実感を感じている方が多いようです。

参考情報
県別「ゲリラ雷雨防衛隊」の実績(7月22日~9月30日)
エリア 都道府県 ゲリラ雷雨
発生回数
ゲリラ雷雨メール
事前捕捉率
事前メール
送信時間
北海道 北海道 320回 86.2% 40.6分
東 北 青森 147回 82.4% 16.8分
岩手 150回 92.9% 47.5分
宮城 160回 90.5% 27.0分
秋田 118回 72.7% 34.9分
山形 126回 64.3% 23.3分
福島 426回 86.4% 35.4分
関 東 茨城 272回 80.8% 27.6分
栃木 430回 89.0% 46.8分
群馬 424回 93.3% 56.8分
埼玉 141回 85.0% 43.4分
千葉 207回 93.8% 25.2分
東京 115回 90.6% 48.6分
神奈川 90回 81.0% 42.9分
中 部 山梨 231回 81.2% 38.8分
新潟 180回 95.5% 45.7分
富山 144回 86.7% 46.3分
石川 153回 70.5% 26.6分
福井 174回 74.1% 23.8分
長野 237回 88.4% 53.4分
岐阜 216回 87.7% 37.9分
静岡 224回 93.1% 61.7分
愛知 163回 75.8% 14.9分
三重 141回 89.5% 48.7分
近畿 滋賀 191回 93.8% 54.0分
京都 167回 93.9% 41.4分
大阪 154回 82.2% 23.6分
兵庫 328回 84.6% 56.0分
奈良 183回 78.8% 60.0分
和歌山 168回 82.8% 62.2分
中国・四国 鳥取 151回 91.4% 59.3分
島根 133回 86.4% 16.6分
岡山 180回 90.5% 58.2分
広島 230回 91.8% 50.4分
山口 158回 80.2% 31.8分
徳島 101回 90.0% 49.7分
香川 111回 80.0% 37.5分
愛媛 134回 77.1% 46.1分
高知 175回 84.6% 56.3分
九州・沖縄 福岡 149回 83.3% 29.7分
佐賀 140回 83.3% 53.3分
長崎 195回 64.6% 16.0分
熊本 204回 88.5% 54.4分
大分 135回 97.0% 46.5分
宮崎 137回 88.5% 68.8分
鹿児島 112回 82.1% 39.5分
沖縄 117回 84.6% 64.8分
「ゲリラ雷雨防衛隊」の活動および「WITHレーダー」、「ソラテナ」の活用事例
■事例①
2011年8月7日 千葉から埼玉へ“ゲリラ雷雨”発生エリアが拡大
~「WITHレーダー」で埼玉県の雹を降らせた雨雲を監視~
○概況

日本付近は太平洋高気圧に覆われていたが、日中の昇温と湿った空気の影響で、午後は大気の状態が不安定になった。このため、関東南部では地上風の収束域で対流雲が発達し、“ゲリラ雷雨”が発生した。 (アメダス寄居 18時:10.5mm、19時:24.0mm)

○「ゲリラ雷雨防衛隊」の当日の流れ


・昼前(監視体制強化)
朝から“ゲリラ雷雨”の発生の前兆となる積雲のリポートが届き、時間が立つにつれて雲が成長していく様子が隊員からの報告で把握できた。本部では、“ゲリラ雷雨”の発生に近づいていると判断し、昼前に「監視体制強化メール」を千葉県の隊員に送信した。

・14時頃(「ゲリラ雷雨メール」の送信)
午後になり、千葉県船橋市付近で地上の風の収束が強まり、上空の大気も“ゲリラ雷雨”発生の危険温度になった。また、船橋市の隊員からも“黒い雲”の報告が寄せられた。本部では、船橋市付近で“ゲリラ雷雨”の発生の危険性が高まったと判断し、14時に「ゲリラ雷雨メール」を送信した。

・“ゲリラ雷雨”発生エリアが拡大
「ゲリラ雷雨メール」を送信したエリアで“ゲリラ雷雨”が発生、14時30分には船橋市付近から“雨”の報告が届いた。その後、“ゲリラ雷雨”は拡大を続け、17時には埼玉県まで広がった。

○「WITHレーダー」で“ゲリラ雷雨”を監視

埼玉県内からは、降雹のリポートが届いた。羽生で観測する「WITHレーダー」では、雨雲を縦方向に観測した画像で、降雹時の特徴的な映り方の赤い柱のようなエコーを捉えていた。本部では、「WITHレーダー」で雹を降らせる雲の動向を監視し、埼玉県の方に注意を促した。

「ゲリラ雷雨防衛隊」の活動および「WITHレーダー」、「ソラテナ」の活用事例
■事例②
2011年8月16日 関東南部で“ゲリラ雷雨”発生
~「ゲリラ雷雨防衛隊」の報告で、発生の見込みが低かった“ゲリラ雷雨”を捕捉~
○概況

北日本には前線が停滞しており、その南側にあたる関東エリアでは南から暖かく湿った空気が流れ込む場であった。ただ、西~東日本は日本の南海上に中心を持つ太平洋高気圧の圏内であったため、朝の段階では関東南部での“ゲリラ雷雨”発生の可能性は低いとしていた。しかし、時間の経過と共に、日中の昇温と風の収束が合わさり、東京23区~千葉柏市にかけて局地的に“ゲリラ雷雨”が発生した。本事例は、防衛隊とともに、発生の可能性が低いと予想された“ゲリラ雷雨”を事前に捉えた事例となる。(アメダス:最寄りの観測点では0mm/hであり、まさしく局地的な“ゲリラ雷雨”と言える)

○「ゲリラ雷雨防衛隊」の当日の流れ

ゲリラ雷雨の発生が低いと判断する中、上空の大気解析(図1)から“ゲリラ雷雨”発生の危険温度33℃に到達し、東京23区~千葉県柏市にかけて風の収束が強まった(図2)。また、東京都や千葉県の隊員からは、続々の雨雲の報告が届き始めた(図3)。また、「WITHレーダー」でも、局地的に雨雲が発生し、成長する様子を観測した(図4)。

図3.東京都中央区12:05
隊員No.160704
図3.東京都西東京市
12:06 隊員No.183396
図3.千葉県松戸市
12:04 隊員No.1740
図4.「WITHレーダー」12:25
局地的な雨雲発達を観測

図5.サポーターからの天気報告
凡例)黄色:激しい雨(ゴォー)
濃青:強い雨(ザーザー)

上空の乾燥域を突破し、発達を見せる雲を隊員が捕捉した。雲の底も雨をもたらす兆候と言える、尾流雲や“黒い雲”の報告も届いた。これをもとに、ゲリラ雷雨として発達しやすい場に変化したことを本部で確認。12時頃に、該当地点に「ゲリラ雷雨メール」を送信した。結果、12時30分には、強い雨の報告が東京と千葉から寄せられた(図5)。

「ゲリラ雷雨防衛隊」の活動および「WITHレーダー」、「ソラテナ」の活用事例
■事例③
2011年8月27日 大阪で“ゲリラ雷雨”発生
~「ソラテナ」の解析で“ゲリラ雷雨”成長から衰弱までを捉えることに成功~
○概況

関東南岸には東の海上から伸びる前線がかかっていたが、日本海上の高気圧が日本付近を広く覆っていた。そのため、近畿エリアでのにわか雨や“ゲリラ雷雨”の発生は北部と南部の山沿いに限定される予測であった。しかし、大阪平野では強い気温上昇と局地的な風の収束により、今夏一番の“ゲリラ雷雨”が発生した。(アメダス大阪:16時73.0mm、17時11.5mm)


○「ゲリラ雷雨防衛隊」の報告と「ソラテナ」でみる積乱雲のライフサイクル

・「ソラテナ」の紫外線量の低下
大阪府では、13時を過ぎると、隊員から灰色の雲の接近、空が暗くなるとの報告が届き、「ゲリラ雷雨メール」を送信。「ソラテナ」のUV-B量も晴天時比べて顕著に低下し、空が暗くなってきたことを表した。16時以降はUV-Bの値はほぼ0となり、隊員の空が真っ暗という報告との対応を示した。(図1. UV-B量の時間変化(左)と空の様子(右))


・気圧の降下(雨雲の成長期)と上昇への転向(雨雲の最盛期)
図2(a)は「ソラテナ」の気圧データの10分差分値(上:14時50分~15時、下:15時~15時10分)から気圧上昇・下降エリアを図示したものである。(b)より、大阪北部では13時から15時にかけて下降し、特に15時ごろにはその傾向が一段と顕著になり、15時10分以降は上昇に転じた。(a)で大阪市付近のエリアが黄色系の色に変わっていることがそれを示している。隊員の報告では、大阪市付近では15時10分から30分にかけて特に激しい雷雨と冷たい強風の報告が集中している。激しい降水によって下降流が形成されると同時に潜熱吸収によって冷却され、地表で冷たい強風として吹いたと考えられ、ここで積乱雲は最盛期を迎えたと言える。15時10分頃の気圧の下降→上昇の変化の鋭さは、マイクロバーストに近い下降流があったことを示唆する(突風の報告もあり)。その後、小規模な積乱雲の世代交代は見られたものの大阪北部の気圧はゆるやかな上昇傾向を示していたので、衰退期に入っていったと考えられる。「ソラテナ」による観測では、変化の傾向を面的および時系列で網羅的に見ることができた。一方で、「ゲリラ雷雨防衛隊員」からは風・空気感の変化が20~30分先んじて報告が始まっていたことから、微細な変化およびその兆しの感知について、人の五感が迅速性で優れていることも再確認された。(図2(a)10分気圧差の変動、(b)気圧の時間変化)

「ゲリラ雷雨防衛隊」の活動および「WITHレーダー」、「ソラテナ」の活用事例
■事例④
2011年8月9日 関東南部で雨雲の発達が終息
~「ゲリラ雷雨防衛隊」の監視により“ゲリラ雷雨”の発生はないと判断~
○概況

日本付近は、南から湿った空気が流れ込みやすい状況であり、“ゲリラ雷雨”の発生が懸念される状況であった。ただ、西~東日本は日本の南海上に中心を持つ太平洋高気圧の圏内であったため、雲の成長が抑えられる場でもあり、“ゲリラ雷雨”発生の見極めは非常に難しい状況にあった。結果的に、太平洋高気圧の勢力が強く、“ゲリラ雷雨”発生が無かった事例となる。

○「ゲリラ雷雨防衛隊」の当日の流れ

・12時30分頃(“ゲリラ雷雨”発生の条件が揃い始める)
12時30分頃、千葉県は上空の大気解析から判断できる、“ゲリラ雷雨”発生の危険温度32.5℃に達したことを確認した(図1)。また、12時50分頃には房総内陸で風の収束が強まり(図2)、高気圧の勢力(上空の乾燥)が懸念されるものの、気象場的には“ゲリラ雷雨”発生の条件が揃い始めた。その状況下において、衛隊から届いた報告(図3)を見ると、雲にくびれができている写真や、一定以上の高さから発達がないこと、ある程度発達すると雲が折れて消滅する事が確認できた。これにより、上空の高気圧による影響および上空の乾燥域が強く、発達が抑制されている状況を確認できた。結果、隊員による報告から“ゲリラ雷雨”はないという判断に至り、実際に“ゲリラ雷雨”は発生しなかった。



千葉県千葉市14:22
隊員No.12096
東京都江戸川区15:04
隊員No.142917
図3.「ゲリラ雷雨防衛隊」からの報告
「ゲリラ雷雨防衛隊」の活動および「WITHレーダー」、「ソラテナ」の活用事例
■事例⑤
「WITHレーダー」のデータ公開による「ゲリラ雷雨防衛隊」の活動

今年から、新たに「WITHレーダー」のデータを「ゲリラ雷雨防衛隊」に公開し、隊員と本部がチャットを通して情報を共有できる“「WITHレーダー」稼働会議”を「ゲリラ雷雨防衛隊」のサイトおよび「ゲリラ雷雨Ch.」導入しました。データを公開することにより、隊員が実際に発見した“ゲリラ雷雨”の前兆となる雲が、実際に雷雨に至るのかどうか、その発達過程をリアルタイムで追い、情報を共有する事ができました。また、雨雲の発達状況を把握する事で、冠水や浸水が起こる可能性がある雨雲なのかなど、生活への影響について検討する際にも役立てられました。

<8月8日 栃木県で発生した“ゲリラ雷雨”の事例>

① 「ゲリラ雷雨防衛隊」による雲の観測
11時47分に、栃木県栃木市の「ゲリラ雷雨防衛隊」より、“ゲリラ雷雨”の発生の前兆となる雲が成長中である報告が本部に届いた。

② チャットを通じて「WITHレーダー」を稼働 
12時3分に栃木県栃木市の同隊員より、「WITHレーダー」稼働会議のコメントが届く。
(以下、「WITHレーダー」稼働会議のコメントを抜粋)
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・隊員No.61181
  日光方面に搭状雲多数。土台も広く目視であきらかに2000mを越えてるものもあり。
  宇都宮レーダー稼働をお願いしたい。
 ・本部
  隊員61181、了解した。他の隊員からも空が暗くなったと報告があり、宇都宮に切り替える。
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この後、防衛隊本部ではWITHレーダー宇都宮を稼働した。

③ 隊員の依頼により稼働した「WITHレーダー」が雨雲をキャッチ
隊員の依頼により稼働させた「WITHレーダー」によって監視を強化した雨雲は、発達を続け、50分後に“ゲリラ雷雨”が発生した。