発行日 : 2011年09月13日
平成23年3月11日に発生した東日本大震災、そして東京電力福島原発事故を契機として、周辺地域では各種風評被害、経済活動への影響が発生しました。 当社には、近海を航行する船舶や出漁を控える漁業関係者をはじめ、上空を飛行する航空会社から、「周辺海域での観測が十分ではない」、「安全な航行のために海域や空中の観測結果が欲しい」などのご意見・ご要望が寄せられました。 そこで当社では東海大学海洋学部、地元の漁船にご協力いただき、平成23年7月8日からの6日間、のべ24隻の漁船を利用し、福島県周辺海域の空中放射線、気温、風速、波高、海水温、塩分濃度、表面海水採取などの各種環境観測を実施いたしました。

今回観測した空中放射線について、原子力安全委員会が定めた「原子力施設等の防災対策について」の外部被ばく実効線量による「屋内退避(1.14μシーベルト/hr以上)」、「避難基準(2.28μシーベルト/hr以上)」に達する値は計測されませんでした。
※基準に関しては、原子力安全委員会発表の資料をご参照ください。
尚、この期間中の最大の観測値は、0.96μシーベルト/hr (7月12日東Bルート、北緯:36.90、東経140.54)で、最小の観測値は0.03μシーベルト/hr(7月10日東Bルート、北緯:36.50、東経141.20)でした。

| 観測点 | 観測時刻 | 空中放射線量 | 観測地点 | 備 考 | |
|---|---|---|---|---|---|
| (μシーベルト/hr) | (緯度・経度) | ||||
| 0 | 5:00 | 0.05 | 36.9068 | 141.0029 | 小名浜港 |
| 1 | 6:30 | 0.65 | 36.9123 | 141.1608 | |
| 2 | 7:00 | 0.75 | 36.9285 | 141.3454 | |
| 3 | 8:00 | 0.67 | 37.0051 | 141.4893 | |
| 4 | 9:00 | 0.08 | 37.0971 | 141.636 | |
| 5 | 10:00 | 0.07 | 37.1495 | 141.731 | |
| 6 | 11:00 | 0.14 | 37.0272 | 141.6348 | |
| 7 | 12:00 | 0.96 | 36.9077 | 141.5387 | 今回の観測の最大値 |
| 8 | 13:00 | 0.07 | 36.8765 | 141.3849 | |
| 9 | 14:00 | 0.07 | 36.8986 | 141.2057 | |
| 10 | 15:00 | 0.1 | 37 | 141.037 | |
今回、外部研究機関として東海大学 海洋学部 海洋地球科学科 千賀康弘教授の参加を頂き、海上浮遊物の状況を確認するとともに、沿岸域での海洋環境の調査を以下の通り実施しました。

各観測点で多項目水質計を降下させ、水温・塩分・深度・クロロフィル蛍光・濁度・溶存酸素の鉛直分布を測定し、鉛直断面図:水温・塩分・クロロフィル蛍光について、西側観測線(St1-St3)と東側観測線(St4-St8)に分けて、緯度-水深断面図を作図。
表層15mまでの部分では、南側に高温・低塩分の水塊があり、北側(岸側)には低温・高塩分の水が入り込んでいます。15m以深では南側で高温・高塩分の水塊(黒潮起源と考えられる)と低温・低塩分の水塊(親潮起源と考えられる)が交互に出現しています。植物プランクトンは岸側、および深度15m以深に多く出現しています。水温・塩分の分布より15m層には密度躍層があると考えられ、植物プランクトンは、躍層上部にはほとんど存在しません。
観測海域は、黒潮と親潮の混合する海域としての複雑さのみならず、沿岸域での複雑な海浜流の影響を受けているものと考えられます。

図4 水温の鉛直分布(左:東側観測線、右:西側観測線)

図5 塩分の鉛直分布(左:東側観測線、右:西側観測線)

図6 クロロフィル蛍光の鉛直分布(左:東側観測線、右:西側観測線)

図7 各観測点での水温・塩分・クロロフィル蛍光の鉛直分布

図8 2011/07/10 人工衛星MODIS/AQUA によるクロロフィルa画像
表面海水の調査については、東海大学 千賀先生に引き続きご協力いただき、分析を行っています。結果が出次第、発表する予定です。 また、現在も陸上に対比して海上観測は、観測点、頻度共に少ないことから、今後は出漁を行う地元漁協と共に、空中放射線の観測等を継続し、情報収集、客観的評価を継続して実施していく計画です。
環境観測にあたりご協力を頂きました小名浜漁協を始め、いわき市の皆さま、厳しい日程にも関わらず観測に加わって頂きました東海大学 千賀先生に厚く御礼申し上げます。 これからも当社の出来ることを考え、向き合って行きたいと考えます。
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