発行日 : 2011年04月27日
Wx Files Vol.6 2011年4月に千葉県北西部で発生した突風について |
2011年4月25日13時~14時頃にかけて、千葉県北西部をライン状の強い雨雲が通過し、一時的に強い雨と突風が発生した。特に、千葉県鎌ヶ谷市や柏市では、家屋や車が破損したり、農業用資材が吹き飛ぶなどの被害が発生。当社の現地調査及び、独自気象レーダー(WITHレーダー)を含めた気象解析から被害の原因を考察した結果、今回の被害はダウンバーストにより発生した可能性が高いが、一部ではガストネードにより発生した可能性も考えられる。
*ガストネード(Gustnado)とは、
ガストフロント(ダウンバーストの先端)で発生した渦巻く強い上昇流のこと。塵旋風(つむじ風)と同様に、竜巻と誤認されやすい現象。
アメダス観測、気象庁レーダーの解析によると、13時20分頃は千葉北西部を地上風のシアライン(収束線)が通過していた。当時、関東上空には強い寒気が流れ込んでおり、大気の状態が不安定であった。このため、シアライン付近では活発な積乱雲が発生し、同時間帯に被害エリアを通過し、東に進んでいった。WITHレーダーでは、これらの積乱雲の微細構造を捉えており、ドップラー速度解析から強いガストフロントの構造を伴っていることが確認できた。(通常、竜巻発生時に見られることが多いメソサイクロンの構造ではなかった。)このことから、当時、積乱雲からは顕著なダウンバーストが発生していたと考えられる。
![]() 13時20分の気象庁レーダー |
![]() 13時20分のWITHレーダー ドップラー速度(青:北西風) |
![]() 13時20分のアメダスデータ 実況解析 |
鎌ヶ谷市では突風被害当時(13時20分)、写真のように、突風により塵が巻き上げられている様子が報告された。また周辺の柏市や臼井市からもトタン屋根が飛んだり、瓦屋根が破損したりなどの被害報告も届いた。
(写真は鎌ヶ谷市のサポータから13時38分に受信)
被害は東西約4㎞にわたり、一部の建築物においてトタン屋根が飛ばされたり、風を受けやすい柵が飛ばされるなどの被害があった。鎌ヶ谷市役所によると人的被害はなかったとのこと。 被害発生地点は直線上に並んでおり、倒壊方向は概ね西から東であった。一部に押しつぶされたような形状(竜巻では捻じれた形状となる)のものも確認された。ただし、被害発生の線上においても、被害を受けていない建物もあった。また、倒壊方向は一様でありながらも、現地では風が渦を巻いているという証言があった。


調査結果より、柏市では大津ヶ丘と永楽台・名戸ヶ谷・新柏で被害が発生していた。柏市役所によると人的被害はなかったとのこと。
(1)永楽台 名戸ヶ谷 新柏
永楽台・名戸ヶ谷でも離れた地点・局地的に被害が発生しており、被害が連なっている様子はなかった。停車中の車の破損や建物の屋根が飛ばされるという被害があり、また新柏では店舗のテントが飛ばされている。「強風が南西から北東へ吹いていた」、「空が暗くなり、雷が鳴った」という現地の証言もあった。
(2)大津ヶ丘
幅約20メートル、長さ約50メートルの範囲で被害が発生。飛ばされた屋根瓦が家の壁に突き刺さり、窓ガラスが割れていた。被害はまばらであり、倒壊方向は、一様ではなかった。


気象解析からは、ダウンバースト発生時に見られるガストフロントの構造が見られた。また、現地調査では、ダウンバーストの被害に特徴的な一方向の倒壊が確認された。このことから、今回の被害の原因はダウンバーストの可能性が高いと考えられる。ただ、一部、柏市大津ヶ丘では倒壊方向にばらつきがあったことや、鎌ヶ谷市・柏市の現地での風が渦巻いているという証言、さらに渦を巻きながら塵を巻き上げている写真から判断すると、一部ではガストネードが発生し、被害をもたらした可能性がある。
ガストネード概念図
写真右側から降水を伴った冷気が進入。写真左側の相対的な暖気を持ち上げ、上昇気流を発生。(写真との対応は推測)
ライン状の強い雨雲の通過に伴う突風や強雨の前兆について、特徴的であった現地の方の体感と空の様相の変化をまとめると、以下のとおり。
・稲光や雷鳴と一緒に、冷たい風が吹いてきた。
・周囲の空は異様な暗さで、街灯がついた所もあり、室内は電灯が必要であった。
・雲の底が垂れ下がる(漏斗雲)というよりは、渦巻く強い風が埃の舞い上がった柱として見え、 上空の雲とつながっている感じはなかった。
今後、現地においては同様の突風被害発生の前兆をとらえるにあたって有効と考えられる。
ウェザーニューズでは、13時20分頃から竜巻の目撃情報や突風発生のリポートを千葉県、茨城県のウェザーリポーターから受信し、予報センターにて速報的 に解析を実施した。24時間生放送のBS 910ch.「ウェザーニュース」では、その解析結果及び、今後の危険性を解説。また、15時頃まで竜巻や突風への注意が必要なことから、14時に各エリアのサポーターへ注意喚起を促す「号外メール」を送信した。その後、被害が特に大きかった千葉県柏市、鎌ヶ谷市へ社員を派遣し、被害調査や聞き込みを行い、解析を実施した。
※このWx Filesの記載は速報値であり、二次災害あるいは今後同様の災害を少しでも減らすことを目的としています。
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