発行日 : 2011年03月02日
「光」の観測により、微細な火山灰拡散の実態を把握
株式会社ウェザーニューズ(所在地:東京都港区、代表取締役社長:草開千仁)は、オクラホマ大学と米国Sigma Space社の協力を得て、噴火が続く新燃岳の火山灰の拡散をより正確に把握して予測精度の向上につなげるために、本日より6日まで、LIDAR(レーザー光観測機)による試験観測を都城市にある「たちばな天文台」で実施します。 地域住民をはじめ、航空、道路、鉄道などの交通事業者に大きな影響を与えている今回の噴火に対して、当社ではWITHレーダーによる観測を噴火直後より継続的に実施。「正確な噴煙高度や広がり」など、これまで正確に把握できなかったデータを定量的に捉え、その観測結果を取り入れた火山灰拡散予測を行っています。 今回実施するLIDARによる観測は、レーダーでも観測不可能な微細な火山灰を捕捉し、拡散予測の精度を更に上げ、被害の軽減に役立てることを目的としています。
LIDARとは「Light Detection and Ranging」の略称で、大気にレーザー光を当てて、大気中のエアロゾル(微粒子)からの反射光を受けることで、高さや厚さなどの分布を調べる観測機です。普段から良く耳にするレーダーは「電波」による観測であるのに対し、LIDARは「光」です。光は電波に比べ波長が短いため、大気中のエアロゾルまで観測ができます。
今回の試験観測は、気象のメッカと言われるアメリカ・オクラホマ大学、LIDARの開発メーカであるSigma Space社の協力により実現したもので、新燃岳から流れてくる噴煙に向けレーザー光を発射し、その反射光で火山灰の分布を観測します。1回につき1~5分ほどレーザーを照射。夜間の観測では、緑色のレーザー光が上空に伸びます。
![]() 観測に使用するLIDAR |
![]() LIDAR試験観測の様子 |
昨年4月、アイスランド南部の火山噴火によって飛散した火山灰は、欧州の交通機関を中心に大きな被害をもたらしました。特に航空業界のダメージは大きく、欠航や空港閉鎖など、経済的損失は約3,000億円とも言われています。
この事件をきっかけに、大手航空会社を始めとする交通各社から精度の高い火山灰拡散予測と火山灰リスクへの対応策情報への期待や要望が高まったことから、当社ではVAAT(Volcanic
Ash Advisory for Transportation)プロジェクトを始動し、火山灰によるリスクに対しての取り組みを本格的に開始いたしました。
VAATプロジェクトでは今回のLIDAR観測に先駆け、ゲリラ雷雨などの局地的な気象現象の捕捉を目的に開発された「WITHレーダー」を利用した、レーダーによる新燃岳噴火、火山灰拡散の実態把握を継続的に行なっています。
6秒に1回と、高頻度な観測が可能なWITH レーダーによるリアルタイムな観測は、目視やカメラによる従来からの観測方法では捉えにくい、「正確な噴煙高度と広がり」、「火山灰の拡散量」、「噴火直後の噴煙の移動方向」など、様々な定量的なデータを得ることができました。
![]() WITHレーダーの観測からわかった 噴煙の高さと広がり |
![]() WITHレーダーの観測からわかった 噴煙量 |
今回のLIDAR観測は、微細な火山灰の捕捉を行い、その結果を火山灰拡散予測モデルに取り込み、精度を上げることを目的としており、今後の火山灰拡散予測の初期値として、有効かどうか技術的な検証を行うものです。過去、航空機レーダーにも映らず、パイロットの目視でも確認できない火山灰により航空機のエンジンが停止したという事故も発生しているため、精度の高い火山灰拡散予測は、航空会社をはじめとした交通機関や地域住民に必要とされています。 予測モデルの高度化は、VAATプロジェクトチームが当社の「Oklahoma Innovation Center」とともに、今回の観測結果を技術的に分析・検証しながら進める予定です。
世界主要国 / 地域に29の営業拠点を持つ、世界最大の民間気象情報会社。
海、空、陸のあらゆる気象現象の世界最大規模のデータベースを有し、独自の予報により、航空、海運、流通、自治体などの各業務の問題解決情報を提供している。
一般個人に対しては、携帯電話、インターネット、BSデジタル放送等のメディアを通じて、個人の生活を支援する各種情報を提供。