発行日 : 2010年10月26日

Wx Files Vol.1 2010年鹿児島・奄美大島豪雨被害について

【概要】

記録的な豪雨による災害
2010年10月19日〜21日にかけて、秋雨前線と台風13号の影響により、鹿児島県奄美大島で記録的な豪雨が発生。島内では土砂災害や洪水が発生し、犠牲者も出る災害となった。また通信や交通などのライフラインの被害が大きいことから救助作業が難航した。最も豪雨が続いた20日の日積算雨量は住用支所で691ミリ、奄美市名瀬で622ミリ、瀬戸内町古仁屋286.5ミリを記録し、台風の影響を受けやすい奄美大島でも、過去最大級の雨量となりました。今も復旧活動が続けられていますが、島内には依然として崩落の危険性の高い個所が多くあり、今後の降雨によっては被害が広がる恐れがある。

【気象解析(速報)】

秋雨前線に台風の水蒸気が流入し、長時間の豪雨をもたらした
19日から20日夜遅くにかけて、奄美大島付近に停滞していた秋雨前線に、台風13号の東側を北上する暖かく湿った不安定な空気が大量に流入したことによって、発達した積乱雲を含む雨雲が長時間にわたって通過、停滞し、記録的な豪雨となった。 レーダーおよび衛星画像などから分析した結果、以下の3種類の雨雲が断続的かつ複合的に影響し、結果として長時間の豪雨となった可能性が考えられる。

  1. 奄美大島~沖永良部島のすぐ南海上で断続的に発生して北上、通過した積乱雲。この積乱雲の  発生域は、動きの遅いシアラインまたはメソ低気圧と対応していた可能性がある。
  2. 奄美大島の山地で発生、停滞した雨雲。この雨雲は、地形性上昇によって発生した下層を中心と した雨雲であったと推測される。
  3. 南海上から断続的に北上し、比較的速い速度で通過した雨雲。
10月20日 日中の状況 複合する雨雲の断面イメージ

画像をクリックすると拡大画像が見られます


【観測データ】

10月20日の記録的な雨量

  最大時間雨量 日積算雨量
住用支所(鹿児島県庁観測値) 131ミリ 691ミリ
名瀬   (アメダス) 78.5ミリ 622.0ミリ
古仁屋  (アメダス) 89.5ミリ 286.5ミリ

【被害状況の現地調査】 

いたるところで土砂災害が発生。依然崩落の危険性が高い。
災害発生後の10月22日、当社予報センタースタッフを含む3名が被害状況を確認するために現地入りした。

城トンネル出口の土石流跡

奄美大島は、山が多く、海岸や、わずかな平野部から崖が切り立っている箇所も多い。豪雨によりいたるところで土砂崩れなどの被害が見られた。
[1] 奄美市住用町方面
(1) 国道58号線

国道58号線城トンネル住用町方面出口で大規模な土石流が発生。土石流が、ガードレールがすっかり見えなくなるほど道路を覆いつくした現場。行き場を失った水流はトンネル内に流れ込んでいた(反対側の名瀬方面出口で一時車両通行止)。地元の方によると、山の斜面ではまだ崩れ切っていないところが見えるので再崩落の恐怖感があるとのこと。


奄美市住用総合支所1階/奄美市住用総合支所の駐車場

(2)奄美市住用総合支所
平野部の中でもやや低い地域であり、洪水の影響を長時間受けたと想像される。役所一階部は天井近くまで浸水、机の上にも泥や石、流木が散乱していた。外の駐車場では、一方向に車が流され、縁石にあるいは車同士で乗り上げていた。車がほとんど浮き上がった状態で流されたと考えられる。


市街地のマンション裏側斜面/民家の裏斜面が崩れ、2階を押しつぶす

[2] 奄美市街でも被災
既に深刻な被害の出ている奄美市住用町、龍郷町だけではなく、奄美市名瀬の中心部でも一部では20日のうちに斜面の崩落が発生していた。22日になっても復旧に向けた動きがなく、付近の住民からは不安な声が聞かれた。



県道79号線沿いの土砂崩れ/県道79号線沿いの大規模崩落個所

[3] 奄美市から大和村まで道路付近は、依然崩落の危険性が高い
奄美市名瀬から大和村までの北西側の県道79号線沿いでは、道路の片側車線をふさぐようながけ崩れが多数箇所ある。場所によっては、幅100m、高さ数百mにおよぶがけ崩れ、地すべりもある。崩落斜面では、岩肌に無数の亀裂が見られ、今後の降雨によってはさらなる崩落の危険性もある。


【ウェザーニューズの取り組み】

ウェザーリポートの共有と局地観測のための小型レーダー設置
[1] 現地からのウェザーリポートによる情報共有と注意喚起
20日12時37分にウェザーリポーターからがけ崩れによる通行止めのウェザーリポートを受信。その後も、被害状況の把握・共有のためにウェザーリポートを募った。また、奄美大島及び、鹿児島県のサポーターへ注意喚起を促す「号外メール」を携帯電話へ送信した。21日携帯電話サイトに特設サイト(無料)を設置し、現地の詳細気象予報および被害情報等のリポートを共有し、現地にいる方のための情報交信による支援を行っている。
鹿児島県庁へ防災気象サービスの一環として、現地の被害状況を把握するために、現地のウェザーリポートを共有した。また、奄美市災害対策本部に対しても、復旧活動支援の為、被災地の気象情報並びに対応策情報をFAXにて情報提供している。

2010-10-20 17:06:19  
名前:Yan
場所:鹿児島県奄美市名瀬小浜町
住んでいる三階建てアパートの一階は駐車場ですが冠水して車内にも浸水してました。アパートは200m程の丘にあるのですが側溝の排水量以上に降水があり16:30頃には膝上まで冠水してました。交通情報ですが奄美を縦断している国道58号線は途中奄美市住用地区で冠水して通行が禁止されているようです。その他でも崖崩れ、冠水、河川氾濫で通行止めの道路があるようなので不必要な車での移動は避けて下さい。
2010-10-20 18:33:37 
名前:指名打者
場所:鹿児島県奄美市名瀬市内
市内のあちこちで冠水しており、中にはどうやら動かなくなってしまったクルマもありました。
運転は非常に危険でワイパーの意味がないほどの強い雨が降り道路のいたるところで泥水が流れています。
2010-10-22 06:23:34 
名前:奄美のぴょん吉
場所:鹿児島県大島郡龍郷町
みなさんおはようございます。
私の自宅は龍郷町赤尾木ですが屋入トンネル付近のがけくずれの為帰宅できていません。
現在復旧作業しているようですがもうしばらくかかりそうです。

奄美大島に設置したWITHレーダー

[2] 局地的な気象現象をとらえるために小型レーダーを設置
今回のような台風の影響により急発達する雨雲や低気圧(メソスケール)を事前に予測することが難しかったことをふまえ、当社では奄美大島へWITHレーダー(局地的な気象現象の把握が可能な小型レーダー)を設置。二次災害の減災活動への活用として、25日より携帯サイト「ウェザーニュース」で展開している特設サイト(無料)にて公開した。




※このWx Filesの記載は速報値であり、二次災害あるいは今後同様の災害を少しでも減らすことを目的としています。

株式会社ウェザーニューズ(東証1部 <4825>)について

世界主要国 / 地域に29の営業拠点を持つ、世界最大の民間気象情報会社。
海、空、陸のあらゆる気象現象の世界最大規模のデータベースを有し、独自の予報により、航空、海運、流通、自治体などの各業務の問題解決情報を提供している。
一般個人に対しては、携帯電話、インターネット、BSデジタル放送等のメディアを通じて、個人の生活を支援する各種情報を提供。